12月4日に閉幕した世界選手権で新風を巻き起こしたのがポーランドとブルガリアだ。メダル授与の際「ポーランド」の名前が呼ばれると選手12名は一斉にジャージを脱ぎだしジャージの下に着ていた16番のユニフォームを1万人の観客へそしてテレビの前で彼らの勇姿を見守っていたポーランド国民へと誇示した。16番は昨年交通事故で命を落とした元チームメイト・ゴラスの背番号である。イタリアリーグ開始直前妻の運転する車でポーランドからイタリアへ向かう途中オーストリアでの惨事だった。
一方ブルガリア代表チームにも今年決して忘れることの出来ない忌まわしい交通事故が選手達を悲しみに陥れた。代表選手2名の家族が同乗していた1台の車が事故に合いそれぞれの選手の愛娘が天国に召されたのだ。運転席、助手席にいた母親達はシートベルト着用で事なきを得たが、後部座席に乗っていたまだ幼い娘達はあっというまにフロントガラスから車外に投げ出され即死した。ワールドリーグ開始前の春の惨事であった。
今大会ポーランドもブルガリアもダークホース的な存在だった。決勝まで無傷で快進撃を続けたポーランド。強豪揃いのプールを着実に勝ち進んだブルガリア。「勝ちたい」だけではなく「勝たねば」そんな選手全員の強い思いが両チームに悲願のメダルをもたらしたのだ。